ブログ

2021.01.25更新

 昨年夏ごろにここのブログでも家族信託のことを書かせていただいたが、秋にしっかり契約書を完成させ銀行の口座を開設し信託登記まで無事に終了いたしました。

 

 そんなこともあって注目しているわけではないものの町で「家族信託」という文言を見かけるようになった。例えば西武バスの後方の広告など。

 ここの業者とは取引がないので推測に過ぎないが、広告主が自ら家族信託の契約書を起案するとは考え辛いので、おそらく窓口として受けて専門家に回しているのだと思う。もしそうだとすれば間に人が入るのでどうなのかな?と考えずにはいられない。何故なら窓口として受けた業者さんに何らかのメリットがあるように考えなければ、紹介するメリットがないのではと考えられるからだ。(あくまで推測です。)

 

 一方当事務所の家族信託は、例えば認知症対策であれば、本当に家族信託が適当なのか、あるいは財産管理・任意後見契約で足りるのか、はたまた家族信託と財産管理・任意後見の抱き合わせまで必要なのか依頼者のお話を聞きながら進められます。特に委託者が高齢者の場合例え認知症でなかったとしても「信託」自体どういうものか理解できなくて後になって「こんなはずでなかった。」「費用が高い。」等トラブルに巻き込まれることがあり得るので専門家としても慎重に対処したい。また資産のない方に現時点では、家族信託はあまりお勧めできないのではないかと思います。

 

 では、当事務所ではどのようにしているのか?

 もし認知症対策であれば税理士等他業種を入れる必要がないので契約書の文案自体はお客様の要望に沿ってある程度できる。但し銀行・公証役場が駄目という場合はお応えできませんが。

 信託口口座は、現時点で三井住友信託銀行一択で行っています。何故なら近辺で対応しているのが、城南信用金庫、西武信用金庫くらいだからです。城南信用金庫は、事務所の近くにありませんし、西武信用金庫はこちらも取引実績がないからです。聞いた限りなので正確性に欠けますが、三菱UFJ信託銀行とりそな銀行は、自行の商事信託商品を勧めているようです。

 では、三井住友信託銀行は万能なのかというとそうではありません。原則3000万円のお金を口座に入れる必要があるからです。(例外もあるので、その辺はある程度柔軟に対応できるようです。)そのような実情からある程度資産を持っている人限定になるのでは?と思っています。

 

 そうは言っても、何の対策も取らずに認知症になってしまった場合、法定後見人を家庭裁判所で選任してもらい、もし施設入所の際家を売却して施設入所する場合、裁判所の許可が必要になったり、預金が凍結されるので不便極まりないことは、事実です。更に認知症になった人が、相続人になった場合遺産分割協議の際法定相続分は取得するよう裁判所から指示がでるので、特に不動産の場合、手間のかかる代償分割を避け共有にされた場合最悪です。(後見人にとっては付随報酬を貰えるのでメリットはありますが)

 昔は考えなくてよかった認知症対策、今は必然かもしれませんね。

投稿者: NBC司法書士事務所