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2021.10.08更新

 司法書士事務所が生命保険の話? なんで? という疑問を持つ方は多いでしょう。

 所で皆さんは、何のために生命保険に入っていらっしゃるのですか?

 例えば住宅ローンを組んだ時に入る団体信用生命保険。これは住宅ローンの借主に万一のことがあった時に、家族の方がローンの支払いが出来ず家を手放さないですむようにまた銀行も不良債権化させないために、生命保険で返済してしまうという商品です。勿論死亡だけでなく、3代疾病特約等生きていても働く事ができずに保険で返済する等派生した商品もあります。

 

 また一般に生命保険会社の営業マンのセールスの仕方として、万一ご自身に何かあった時生活に必要な資金を保険から出すというのもポピュラーですね。これは、当たり前ですが人間年を取っていくごとに、寿命が短くなるので「必要保障額」は年々減っていくことになります。これは、保険料が安い方がいいので一般に掛け捨ての商品になると思います。

 

 保健の営業マンに言われるまま目的もあいまいなまま入ってしまうと補償の重複など必要以上に生命保険に入っているという事も考えられます。

 他にも外貨建てや投資性の商品などもありますが、当事務所は保険代理店ではないので省略します。

 

 ただ相続が開始した時終身の生命保険に入っていれば何の問題もないのに、入っていなかったばかりに調停になってしまった案件が続いたので紹介します。

 内容はほぼ同じですし、個人を特定されないよう一部内容は脚色しています。

 

 事案としては、旦那さんかがなくなり相続登記の相談にいらっしゃった方です。住宅ローンも、上記の団体信用生命保険で完済できました。

 しかしいらっしゃった方は、後妻さんで前妻の子と遺産分割をしなければなりません。法定相続分は後妻さん、前妻のお子さん格1/2になります。主だった財産は自宅のみ。この場合前妻のお子さんが放棄してくれればいいのですが、法定相続分を主張した場合、1/2相当をあげるしかありません。

 後妻さんに十分なお金があればいいのですが(代償金)、なければ、共有、家を売って法定相続分のお金を支払うしか基本的に方法はありません。最も最近できた配偶者居住権を使うという方法も考えられますが、さほど利用されているとは思えません。また調停で初めて聞いたという事もあるかもしれません。

 

 思った通り前妻のお子さんは、相続分を主張し遺産分割協議ができなくなり、調停になってしまいました。

 

 勿論手許のお金との相談が必要ですが、このような事態を避けるにはどのような方法があるのでしょうか?

 1.家族信託の利用

    但しこれは、住宅ローンを組んでいるため(銀行又はその系列の保証会社の抵当権)、銀行に相談なく家族信託を組成してしまうと約款違反で最悪一括返済を

   求められる可能性があります。そう考えると本件のようなケースではあまり現実的ではありませんね。またそれなりに費用もかかります。

 2.遺言書の作成

    これは、遺言の記載内容によると思います。後妻さんに財産がいくような内容の遺言書を書けばいいのですが、前妻のお子さんの遺留分を割ってしまうと、

   相続が発生した後遺留分相当のお金を後妻さんは払わなければなりません。何もしないよりはましですが。

    勿論前妻のお子さんに裁判所に遺留分放棄の申立てをしてもらえればいいのですが、おそらく可能性はほぼ0でしょう。

 3.遺言書の作成と生命保険(終身)の組み合わせ

    結論を言えばこれがベストだと思います。勿論遺言作成と保険の加入の時期と死亡時の財産状態は異なります。しかし若い時に生命保険に加入していれば

   月々の掛け金は安くなります。特に離婚・再婚をしている方は検討の余地があるのではないでしょうか?、但し保険料が安いという言葉に惑わされ掛け捨ての

   定期保険には入らないように注意が必要です。保証期間中に死亡すればいいのですが、保障期間を超えると保障はされず、再度入りなおすなどしないとならな

   いからです。その場合月々の支払いが大きく増えてしまう事も考えられます。

    上記のような課題はあるものの死亡保険金は、相続税を計算するうえでの見做し相続財産になりますが、民法上の相続財産にはなりません。なので遺留分を

   超える範囲で保険に入っていれば(受取人は後妻さん)、後妻さんに遺留分の請求が来ても保険金でカバーできるというわけです。

 

投稿者: NBC司法書士事務所