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2017.09.08更新

 今回は、父親が借金を残して死亡した場合のケースです。

第1のケース

 幼いころ父母が離婚し、母に育てられました。

 その後結婚して幸せに暮らしていたところ、あるカード会社から督促状が!

 私は、借金をした覚えはないし何だろうと思って見たところ、債権者は父親が亡くなったので相続人である私に支払いを求めてきたものだとわかりました。父が借金を含めどんな財産を持っていたかわからないが、例え財産を残していたも、遺産分割協議などで見たこともない兄弟と協議をするのは煩わしいという事で、相続放棄を決断しました。時間に余裕があるので、必要書類を揃え無事相続放棄ができました。

 

第2のケース

 父親が死亡し、債権者から督促状が届いたとところは、第1のケースと一緒です。ここから一大きく第1のケースと異なってきます。

 というのは、兄妹の代表者が話を取りまとめて相続放棄をするという事だったのですが、裁判所で手続きを取らず債権者の言いなりになってある書類に署名・押印をしてしまいました。しかもその内容を理解せずに。

 ある程度年月が経ちその債権者から再び督促状が届き、当事務所に相談に来ました。条文上は、3カ月の熟慮期間を経過しているので普通には、相続放棄は無理ですが、判例を基に相続放棄の申立てを行いました。当然上記の書類に、署名・押印したことは本人たちも忘れていました。そのためそのような書類の話は全くありませんでした。勿論何か書類は出したかこちらは聞きました。

 この書類がなければ、相続放棄が認められなくとも、消滅時効の援用で解決できると踏んでいたので、消滅時効の援用と念のため相続放棄の申立てをし、認められたので一応決着したと思っていました。

 しかし、債権者は思わぬ物を持っていました。それは、「債務承認証書」です。つまり相続開始後に本人たちは、自ら債務があることを認めていたのです。当然そのようなものがあれば、裁判で争われたら相続放棄は、ひっくり返されるしましてや消滅時効の援用は認められません。

 結果分割払いの和解となり、相続放棄の申立ては全く無駄に終わってしまいました。

 

 これらのケースから、最初の段階で専門家の知識を頼らずに自らの力で安易に解決しようとすると思わぬ事態が生じる可能性があると言えるのではないでしょうか?最も専門家も失敗することもありますが、その場合損害賠償の請求ということも考えられますよね。

投稿者: NBC司法書士事務所