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2022.07.25更新

 一昔前、「司法書士はみな同じ」という言葉を聞いたことがあります。

 確かに、不動産登記であればどの司法書士がやっても結果は一緒になります。

 例えば売買で売主のAさんから買主のBさんに名義を変えるというのは、当たり前ですが誰がやっても同じですし、逆にAさんから関係ないCさんに名義が変わってしまったら大変な事になります。一方その途中経過はどうでしょうか?

 もし売買であれば、Aさんに譲渡所得税の問題が生じます。さすがにこれについては、税理士資格を持っていない限り個別食い的なアドバイスはできないものの一般論としてお話しする事は出来ます。それについて触れてくれるのかくれないのか?

 あるいは、贈与の場合であれば、贈与税の問題。勿論具体的な金額は税理士資格を持っていない限り言えませんが、一般論としてお伝えする事は出来ます。税金の事を考えずに登記を先行させると後で税務署から税金を納付するようにと督促が来たり、場合によっては錯誤で抹消登記をしなければならない場合もあり、無駄なお金を支払わなくてはならないかもしれません。

 

 最近ですと民事信託があります。そもそも対応できない司法書士もいます。対応できるとしても使える契約書なのかが問題になってきます。

 例えば当事務所の場合民事信託の信託口口座については、三井住友信託銀行を推しています。何故なら事前打ち合わせをして信託口口座の開設の可否がわかるからです。西武信用金庫も対応していると支店担当者から聞きましたので、希望があれば事前打ち合わせをし開設の可否を調べます。これは、大事な事です。

 あたり前ですが、公正証書で信託契約書を作成しても信託口口座が開設できなければ、単なる紙切れです。一方信託にする事で、却って委託者が融資を受けられなくなるリスクもあります。融資については、担保として十分か、信託で財産を受託者に移したのであれば受託者の信用状況はどうなのかによって希望通りの融資を受けられない可能性もあります。

 その点説明を怠れば、損害賠償請求の対象になってしまいます。(東京地方裁判所令和3年9月17日付判決)

 当事務所は、信託口口座の開設には全力を尽くしますが、融資の保証まではいたしません。何故なら融資を受ける際の財産の状況、受託者又は委託者の信用状況は日々変わり得るものなので、審査が通るか分からないからです。ましてや信託口口座を積極的に解説してくれる金融機関も少数派ですので、信託口口座を開設しても、融資の審査は厳しいものと思われます。

 

 そう考えると費用が安ければいい、誰がやっても一緒だからという考えは当てはまらないと思います。勿論高ければいいというものではなく、きちんと一般論であっても、付随事項を含めて説明がされているかが選ぶポイントの1つだと思います。

投稿者: NBC司法書士事務所