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2020.07.30更新

 前回の記事で、成年後見制度(法定後見)は、評判が悪いと書かせていただきました。

 記事とは関係なく、成年後見で苦労したと聞いた人から、時々家族信託の相談を受ける事があります。そして今回受託。研修では、体験していたものの実践は初めて。契約書の文案を作ること自体は、お客様のお話をお伺いしながら、型を考えて文案を作成するのですが、それは苦手ではないので、何とかなりました。

 しかし肝心の信託口口座の開設が大変。三井住友信託銀行は、一定要件を満たせば信託口口座を開設してくれる事はわかっていましたが、他行は断られっぱなし。ご本人も他行を希望していましたが断念。家族信託をやっている弁護士に比較的やっている他の金融機関を教えてもらいましたが、それらの金融機関は、受託者にとって遠いのでこちらで推薦した三井住友信託銀行で審査を受けることになりました。

 また家族信託を進めるため色々動いていたら、単に公正証書を作成するだけで信託口口座の開設について全く責任を取らない司法書士、知り合いの弁護士から見たら明らかにぼったくりだという事案等の案件を聞いたりしました。

 

 まだ前半の段階ですが、よく家族信託は「万能」などと主張するセミナーがありますが、正直富裕層でないと使いづらいことがわかりました。ただもし認知症対策としてという事であれば、仮に認知症になって成年後見人が選任されても、不動産(取り分け自宅)の処分は、後見人の管轄外になり、きちんと信託口口座を持っていれば、受託者が万一破産しても債権者に差し押さえられることはないので(流用は別)、その点は安心です。今後どのようになっていくか、自分も楽しみです。

投稿者: NBC司法書士事務所

2020.07.01更新

昨年時期は忘れてしまいましたが、YAHOOニュースで法定後見制度の問題点を取り上げていました。
 ざっくりした内容は、下記の通りです。
 父が認知症になり、銀行から成年後見人をつけないと父の預金を下ろせないと言われ、家庭裁判所に成年後見人選任の申立てを行いました。裁判所からやる気のある司法書士が選ばれました。しかしそれが悲劇のはじまりで、父が元気な頃母が病気になった時のために入っていた民間の医療保険を「お金はお父様のために使うものでありお母様のために使うものでない」との理由でその保険を解約されてしまいました。しかも運が悪いことにお母様が病気になってしまい、後見人の司法書士に入院費の一部を支払ってほしいと頼みましたが前記の理由で1円も払ってもらえませんでした。その結果子供たちがみんなで医療費等を負担することになりました。こういった理由で成年後見制度の利用はこりごりだというものでした。
 本当だとするとその家族はとても運が悪いと言えます。私も似たような事案に当たったことがあります。上記の例同様お父様がお母様のために民間の医療保険に入っていたのです。
 私は、次のように判断しました。「私が後見人になる前にお父様がお母様のために入っていたのだから、本人の合理的な意思だと考えられる。したがって解約の必要はない。」と結論付け裁判所にも報告し認めてもらいました。最もお母様は、病気になっていませんが。
 このように成年後見制度は、後見人の裁量が大きくどちらがよくどちらが悪いと言い切れません。特に専門職後見人の場合その人の裁量にゆだねられるので、紛争がある場合は話が別ですが、そうでなければ、万一認知症になったら誰を後見人にしようと考えるのも一考ではないでしょうか?
 しかも法定後見以外に任意後見制度の利用、家族信託の利用、任意後見と家族信託の併用など今はとても選択肢が多いのですからそれぞれのメリット、デメリットを考えよりよい老後の生活を迎えてはいかがでしょうか?

投稿者: NBC司法書士事務所